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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
まったく……なんてザマだ……
 
自分の身体を守るために身につけているはずの竜の鱗で出来た鎧でさえ重い。

本来であれば、私の身体を覆うように出来ているその鎧は、憎っくき勇者の攻撃によって、今はもう胸元と腰回りにしか残っていなかった。

別に鎧なんてつけなくても、ドラゴンの一族である私の皮膚は、意識的に固くすることができる。

それに攻撃に使う腕や、足先から太ももあたりには、魚のように鱗がついている。

しかし、疲弊しきった今の身体では、おそらく人間の皮膚のもろさとそう大差はないだろう。

いつもなら強靭な硬さを誇る鱗も、今はうっすらと消えかけていて、他の肌と同じようになりかけている。
 
頭上で、いくつもの爆発音が聞こえる。

それと同時に、火山弾のように砕かれた城壁が飛んでくる。

残る全ての力を使いきり、私は自分の城を壊すことで、勇者を生き埋めにしてやろうと考えたのだ。

それはつまり、己自身も犠牲にするということ。
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