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裏切りの幼なじみ
第10章 愛しいから、縛りたい
若き救世主を待ち望む身体になってしまった。隆志の姿、声、匂い、すべてが尊い。亡き母の呪縛を解いた彼は、由梨にとって幸せの象徴なのだ。

『要件は何だ? 俺が代わりに受けるよ』

二時間ほど前。奈津子の番号に電話したのに、隆志が出た。十歳以上も若い少年とは思えない凄みを放つ声に、子宮が震えた。

『奥さまに……奈津子さまにご報告が……またかけ直しますので……』

『何の報告だ。俺が受けると言ってる』

逆らえるはずもない。事実を伝えると、彼は動揺した。

『奈津子の娘が……美由紀のことか?』

疎遠になった娘の近況。無関係に思える隆志が過敏に反応するとは。

(美由紀ちゃんをご存じなのね。夢のように美しい、あの危険な少女を……)

縛るものなどないのに、頭上の両手を解けず、目も開けられない。由梨の心は絶対的信仰を求めている。信じる者は愛される、享楽的な信仰を。

「どこ……隆志さま、どこにいらっしゃるの……あうぅ」

フェザータッチはさわさわと内腿を這い上がり、女裂周辺、豆肉付近を仄かに掠めていく。はしたない御開帳から漏れ蜜が落ちる。その感触が悩ましくて、また続きを催促するのだ。
ようやく深い快感を齎したのは、指ではなく舌だった。

「ひあぅ……おやめ下さい……」

肉真珠の皮を剥かれ舌先で嬲られる。直後に唇で強く吸われ、軽く歯を当てられた時、激しい愉悦が背筋を貫通し、暗闇に光を見ながらビクッと跳ねた。

(まだ挿れてもらう前なのに、わたしの身体、どうなってるの)

隆志の呼吸音が近づく。いよいよだ。つい薄目を開け、絶句する。

(大きい……形も、えげつないわ)

勃起状態での反り、亀頭の艶、カリ首の存在感。女の理性などぐちゃぐちゃに擂り潰してしまいそうな雄棒だ。

「奈津子の娘とは、会ったのか」

「……いいえ。会っていません。最後にお見かけしたのはずいぶん昔です」

(なぜ、いま訊くの? こんな時に……ひどいわ隆志さま)

信仰心より女ごころが優る時もある。お返しとばかりに奈津子の行き先を訊くと、少年は無言で顎をしゃくり、隣室側の壁を示した。

「と、隣の部屋に、いらっしゃるの?……信じられない……」

部屋に呼ぶのだから、隆志ひとりだと思っていた。玄関に女性の靴はなかったのに。

隆志の目的が解らない。解るのは己の目的だけだ。
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