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裏切りの幼なじみ
第1章 プロローグ
(これを描き始めた頃の彼女は、蕾を宿した若草みたいな匂いだった。でも、きょう再会した美由紀は……艶めかしいオンナの匂いがムンムンしてた)

冷言を浴びながら感じたあの匂いが、脳裏から離れない。振り払おうとすればするほど、絡みついてくる。男の本能があの匂いと湿り気の記憶を欲し、忘れまいとしている。

「子どもの頃は美由紀のほうが俺を追いかけていたくせに」

スケッチブックに話しかけながらズボンのチャックを開け、ペニスを握る。剥き出しの亀頭を絵に向ける。無邪気だった頃の「美由紀」がそこにいた。

美由紀と隆志は、昔よく一緒に遊んだ幼なじみだ。男の子みたいに活発でサバサバした女友達が徐々にオンナになるにつれ、ふたりの間に距離が生じた。

中学生になると隆志のほうが美由紀を避けるようになる。照れもあったし、学友に冷やかされたくなかったのだ。

美由紀の絵を描き始めたのはこの頃からだった。接することを避けながらも、スケッチブックの中で独り想い焦がれた。上手に描けるようになると、自作の美由紀の絵を見ながらオナニーするのが日課になった。

「うっ、うっ、う、っくぅ……」

中学生だったあの頃と同じように、十八歳の若茎をいきり勃たせ、リズミカルに右手を動かす。蔑まれた屈辱、そして屈折した劣情。哀しく濡れ光るペニスが膨れ上がり、硬度を増していく。

『ねぇ、ねぇ隆志、お外で一緒に遊ぼうよ。学童保育、つまんないんだもん』

寂しがって縋りつく美由紀を隆志が相手する。初めはそんな関係だった。少女が見せる切なげな瞳が、少年の自由意思を奪っていた。今もそれは変わっていない。美由紀の魔力に囚われたままなのだ。

目を閉じ、瞼の奥に美由紀の冷たい表情を浮かべ、痛烈な言葉を思い返した。

『悪いんだけど、あんまり気安く話しかけないでくれるかしら?』

悔しさと情けなさで嗚咽が出そうなほど喉奥が苦しくなる。ペニスへの摩擦はスピードと強度を高め、尿道口に熱の塊が蓄積していく。

「うぅぅ……裏切り者のクソ女め……美由紀ぃ……」

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