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淫縛~寝盗られ妻は逝き色獄に淫涙を流す(旧タイトル:淫妻)
第14章 チャプター14
「逝く……逝く、逝っちゃう。あぁ、智! 逝く、逝くわ、逝く、逝く、逝ッくぅ!」
 そう喘ぎながら絶頂に達した麗を、智はモニター越しに眺めていた。すでに、彼の右手のなかのペニスはこれ以上はないというぐらい、いきり勃っており、発射寸前にまで彼の欲動は昂っていたが、射精にまでは至っていなかった。
 智は彼の名前を呼びながら、逝ってしまった麗を美しいと思いながら、それとは別に、罪悪感に包まれていた。
 玲二のペニスに貫かれながら、抜かずに二度も絶頂に達してしまった麗。が、逝く時に智の名前を何度も呼んだのが、彼の心の深いところにまで響いていた。ーーいや、今も彼女の声は声なき声となり、智の躰の奥深いところにまで、響き渡っていた。
 智はマウスを操作して、ついさっき、麗が逝った映像を呼び出し、ウインドウに再生させた。それを注視しながら、麗は官能の極みで、玲二ではなく智とセックスをしていると思い込み、果ててしまったのではないか、本当は智に感じさせてもらいたいと、そう本心では望んでいるのではないか、と思った。
 これまで、麗は「ごめんなさい、智さん」と詫びながら絶頂の波に身を任せることはあった。が、ついさっき、智が目にしたのは、これまでの麗のそうした姿とは異なっているように、思われた。
 以前から、智は妻が自分以外の男に抱かれるのは、麗のためになると、そう思い込んできた。が、それは結局のところ、自分の自信のなさを逃避する口実に過ぎなかったのではないか、すべての責任を麗に押しつけただけではないのか、と考えた。自分の過去の傷跡を気にして、目の前で麗が傷口から血を流しているというのに、それに目を閉ざしていたのではないか、と。
 智は座っていた椅子から、立ち上がった。耳からヘッドフォンが外れ、麗の喘ぐ声が外に漏れたが、智はそんなものに見向きもしなかった。
 今、すぐにでも麗に会いたいーーそして、キスをして、それから……。
 もしかしたら、麗との関係もこれで終わるのかもしれない。ここまで捻れた夫婦関係を元に戻すのはおそらく、至難の技だろう。が、それでも構わないと、智は思った。
 重要なのは、こんな自分のことを愛してくれる妻がいて、智もまた、彼女のことを大切に思っていることなのだ。それがあれば、どんな困難なことも乗り越えていけるような気がする。
 ……それが、たとえ智の一方的な勘違いだとしても。
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