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さすがに無理やろ
第10章 天国と地獄

なっ…なんと乙女な!!

それが
俺の第一印象やった

俺は青山さんに促されて
スリッパを履き
部屋の奥へと進むと
そこは
なかなか広めのワンルーム

部屋全体が
白と薄い水色で統一されてて
観葉植物も沢山置いてある
なんとも清潔感溢れる部屋や

ヒラヒラしたりはしてへんけど
全ての素材が柔らかそうで
ええ裏切り方してくれんなぁ
と、俺は思わず
顔ををニヤつかせた

「コーヒー入れます。
座ってて下さい」

青山さんが指定したんは
ソファーや

それもレザーとかやのうて
薄い水色の生地に包まれたやつ
もちろんクッションは真っ白で
触ったら汚れてしまいそうで
俺は思わず
「手ぇ、洗わしてくれへん?」
と、尋ねてしまった

「あ、はい。
あ…じゃあ、こっちで」

青山さんは
ふと、洗面所の方に目をやったけど
そこはマズイみたいで
俺は台所に通された

台所は小さいけど
部屋に向かってオープンになってて
小さなカウンターもついている
ワンルームいうても
ソファーとテーブルが余裕で置けて
その向こうにはベットが置いてあって
そのベットの向こうがベランダ
かなり広めや

「なんや立派な部屋やなぁ。
俺の部屋とは大違いや」

「私…趣味とか無いんです。
だから休みの日も
家に居ること多くて
それで部屋だけは
ちょっと贅沢してるんです」

「それは新情報や。
ここに来んかったら
知らんかったことやな」

「はい」

「ええ部屋やなぁ。
せやけど白いもん多いから
汚してしまいそうで」

俺はそう言いながら
洗った手を青山さんに見せた

「あー…気にしないで汚して下さいね。
私もよく汚しますから。
葵ちゃんにも
落ち着かないって言われるんですけど
つい、白いもの置いてしまって…」

「それも初耳や」

そう言うと
青山さんは優しい笑顔で
「はい」
と、答えた

確かに
会社で見る青山さんからは
想像できへん部屋や
会社の誰もが
レザーや黒を基調にした
シャープな部屋を想像してるやろう

そうや無いことを俺が知って
青山さんが嬉しそうにするとか
ホンマ…
もう付き合うてるって
勘違いしてまうやんけ
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