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さすがに無理やろ
第8章 立ち聞きと待ち伏せ

「新飼さん
どうかしたんですか?」

「え?」

「今日、時計ばっかり見てません?」

「せやねん。
今日、大事な用があってな。
時間が気になってしゃあないねん。
あ、せや
お前頭痛薬持ってへん?」

「頭痛薬?」

「大事な用があんのに
頭痛いねん」

こんな日に限って
珍しく頭痛いとか最悪や

「あー持ってないですね…
けど、薬箱は給湯室にありますよ」

「お〜そうか。
給湯室のどこ?」

「給湯室行けば
誰か女の子いると思うから
聞いてみて下さい」

「分かった。そうするわ」

なるほどなるほど
東京は医務室とかないねんな
そんで薬は給湯室っと…

なんや緊張すんなぁ
給湯室の中に入ったことないし

と、俺は早速給湯室へと向かった

あ、ここやな

「えー今日予定あるしー」

給湯室に近づくと
同僚が話してた通り
給湯室には女の子がいるらしく
中から声が聞こえてきた

助かった
その子らに薬箱出してもらお

そう思いながら
給湯室に入ろうとすると
気になるフレーズが耳に届き
思わず俺は廊下で足を止めた

「青山さんでいいじゃん」

青山…さん?

「だよねだよね」

「うんうん。
こんな面倒な残業
やりたくないもーん」

面倒な残業?

「そうよね。
青山さん断らないしー。
てゆーかさ
私達が知らないふりしてたら
青山さんが気付いて
やってくれるじゃん?
いつものパターン」

は?
知らないふりってどういうことや

「直接上から頼まれたわけじゃないしね!
そーゆーのは
いつも青山さんやってくれるもん」

「てかさ
青山さん地味だよね〜」

「まぁいいんじゃない?
水本さんみたいなキャラより」

「だよねー」

あー胸くそ悪い
なんちゅう奴らや
ほんま
これ以上聞いてられへん!
もっと具合悪なりそうや!



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