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抱けない彼を妄想で抱く
第2章 道具を使ってする
「だめだ、いく…っ」
彼はわたしの口にそれを押し込みました。
一瞬の間のあと、口の中に温かいものが放出されます。
わたしはそれを溜めないようにして飲み込みます。
彼は多分たくさん出る方だと思います。
次から次へと液体は出てきて、これを溜めてしまうと、体勢によっては口から溢れ出てきてしまうのです。

零したら髪についてしまう、と思って夢中になって飲みました。
これの味で彼の体調がわかるといいますが、わたしは飲むときは慌ててることが多いので、ちゃんと味わったことがありません。
それに量が多いのです。
味わっていたら飲みきれないほどの液体が口の中に、わたしの意思とは無関係に流れてきます。

やっと飲みきれたころ、彼はわたしの口からそれを引き抜きました。
いったあとの脱力感でうずくまります。
「大変なことをしてしまった…」
というので、口をティッシュで拭きながら彼の背中を撫でました。
「すごく良かったよ」
そう伝える自分の言葉がなぜだか軽くて、彼には気を遣っていってくれてるのだと思わせるような、そんな言葉になってしまいました。

彼は落ち込んだままシャワールームに消えました。
わたしはまたベッドに寝転がりました。
テレビは変わらずニュースが報道されています。
ほどなくして聞こえてきたシャワーの音に耳を澄ませ、わたしは目を閉じました。
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