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恋がしたいと言いながら
第2章 出会い
 チラチラ見ていたつもりがいつの間にか見つめていて、ついにはばっちり目が合った。
 そのときの彼の微笑に私は完全にやられてしまった。
 優しいのにどこか冷たい、清爽なのに妖艶なその表情が、胸に焼き付いて取れなくなった。
「加奈、どうしたのよ?」
 急に静かになった私に気付いて、真由ちゃんが訊いた。視線の先に気付いた亜実はにやりと笑って立ち上がった。
 彼は偶然、居合わせただけの赤の他人で、この機を逃せば私と彼に接点は二度とないだろう。
 そんな状況がかえって私を大胆にさせた。少しお酒が入っていたのも良かったのかも知れない。
 亜実と一緒に声をかけに行くと、彼はそれを待っていたかのように応えてくれた。
 低い声で囁くように喋るところも私の好みで、私はすっかり優也くんが好きになった。
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