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恋がしたいと言いながら
第16章 本当の気持ち
 少女漫画のヒロインのような、かわいい女の子になりたかった。
 すべてがどうでも良くなるくらい、恋に溺れてみたかった。
 誰かのために我を忘れて、ただあたたかい感情だけで、自分を満たしてみたかった。

 優也くんに抱かれるとき、私はかわいい女の子だったはずだ。
 溺れるように彼を想って、彼とのセックスに夢中になって、エッチでかわいい、みんなみたいに真心のある、やさしい女の子になれていたはずだ。
 なれていたんだろうか。
 優也くんは私に嘘をついていたのかもしれない。私以外の女の子ともセックスしていたのかもしれない。
 でもそれが何だったんだろう。
 恋人もセフレも、傍から見たら変わらない。
 社員でも派遣でも、傍から見たら変わらない。
 私と会っているときの優也くんが、私の好きな彼でいてくれさえしたら、私はそれで良かったのに。
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