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真面目で優秀な、憧れの生徒会長はDQNに弄ばれます
第2章 鮎美と漫画
(……ペンを持ってくる!?)

家に帰り、ベッドに飛び込みやっと心が落ち着いてきたのもつかの間、今度は八木さんが残した言葉にまた心臓がバスケットボールのように跳ね飛ぶ。

(ペンを持ってくるってことはまた話せる!?)

気が気ではなくてその時はもう何もかも対応不可能だったが、今思い出すととんでもない事だと気が付く。
だって、小学校から数えて、もう何年片思いしていたかわからない相手だ。
話せないことが、話さないことが当たり前で、これからもそうなんだろうと思っていた相手だ。
その相手と、次の約束!?
しかも共通の趣味という王道的な展開で!?

じっとしていられず、ベッドから飛び降りる。
部屋をウロウロ歩き回る。
部屋を出る。
冷蔵庫を開ける、閉める。
もう一度開ける。
無意味に麦茶をコップに入れ、一口飲んで、テーブルに置く。

もう今日はこんな感じだ。

自慢じゃないけど、内容は別として僕は漫画を描き始めてから毎日ほんの少しでも描いていて、途絶えることなんてなかった。
風邪をひいてもだ。

けど、今日は初めて、描かなかった。
描けなかった。
描く気にならない。

電気を消した。

「あぁぁ」

おやすみなさい。

その日は八木さんの夢を見た。
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