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乳母…めのと
第5章 乳母…5
「すみません。前に同じ会社で働いていたあおいという女性をご存知ですよね。」
川口はストレートに尋ねた。

桜田は驚いた顔をしながら
「な…なんですか?」

「ご存知ですよね。あなたと関係のあった女性ですから。」

「あなたは、なんなんですか?いきなり!」

「私は弁護士です。彼女に仕事を依頼されました。」

「べ…弁護士?こ…子供の認知をしろとか、養育費を寄越せとか?」

「いえ、違います。」

「じゃ、なんだ?慰謝料か?」

「違います。」

「一体何のようだ?」

「彼女の居場所を知ろうとしましたか?」

「居場所?いや…いつだったか偶然会ったくらいだが…」

「タブレット端末を送りましたか?」

「タブレット?いや?」

「彼女に送られたタブレット端末の所謂逆探知をしたら、ここの住所をだったんだ。」

「は?何を言われているのか分からないけど?」

「指紋を調べさせて貰っても?」

「は?一体何なんですか?いきなり現れてタブレットとか指紋とか…」

「本当に知らないのですか?」

「知らない。残念だが俺では無い。」

「あなたのご家族って事になりますが…」

「妻と子供の3人暮らしだ!するわけないだろ?」
桜田は怒りで顔が赤くなっていた。

「あなた?」
家の中から妻らしき女性が玄関のドアを開けた。
「お客様?」
「いや、違う。うちは結構です。もう新聞は取ってますから。」
桜田はとぼけながら川口を帰そうとした。

川口はチラリと川口の妻を見た。
清楚な感じの綺麗な人だった。

「では、次回にお願いします。」
川口は一礼をして桜田の家から離れた。

「送りつけたのは桜田本人では無く、妻か?」
川口はハッとし、早足であおいの元にに行った。

「帰ろう!」
あおいの腕を掴み桜田の家を後にした。


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