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乳母…めのと
第6章 乳母…6
川口は桜田の弟に会っていた。

「この女性を知っていますね。」
あおいの顔写真を見せ単刀直入に言った。

「し…知りません…」

「では…この女性は?」
桜田の妻の顔写真を見せると

「義姉…です…」

「では、この男性は?」
桜田の顔写真の見せると

「兄です。」
と答えた。

「では、この女性は?」
あおいの顔写真をもう一度見せると

「な…なんですか?知らないって言っているでしょ?」

「じやぁ、この映像を見て下さい。」
川口はタブレットに交差点の防犯カメラ映像を見せた。

「ここ、ベビーカーの女性を背後から押していますよね?あなたですね。画像を鮮明に加工したのが、こちらです。。あなたですね。」

「は?似た奴なんじゃない?俺は知らん。」

「この日のこの後の足取りを追ってみたら…なんと、義姉?と会っている風景があったんだけど。これも義姉に似た人?そしてこのベビーカーも義姉のところの物と同じ物?」

「し…知らない。」

「そうか…なら警察に持っていくしかないな…」

「警察?この女怪我もしていないんだろ?何故警察に?」

「故意に押してる。殺人未遂だな…これ…」

「お金か?」

「金?幾ら払う?無職のあなたにお金はあるの?」

「…。」

「歩道橋でこの女性を押したのもあなたですか?」

「し…知らない。」

「事故と同時刻、この周辺にあなたと義姉が一緒に映っているビデオもあるんだ。」

「なんでも無かったんだろ?」

「お腹の子は死んだよ。。」

「嘘つくなよ。あの女、赤ん坊といたぞ?」

「他人の子だ。彼女はベビーシッターをしていたんだ。」

「知らない。俺は…知らない。」

「お腹の子を殺したのは罪には問われないが、殺人と同じだ。傷害罪には問われるな。若しくは殺人未遂。二回も殺人未遂をしたんだ。」

「知らない。俺は…」

「義姉に頼まれたのか?」

「…。」

「もう一度聞く、頼まれたのか?」

「あの女が悪いんだ。兄貴と不倫して…子供を作って…兄貴は義姉との子供に愛人の名前まで付けて…義姉は辛く悲しんで、ボロボロに。」

「理由はいらない。事実だけを聞いているんだ。」
川口は冷たく言った。


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