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戦場に響く鈴の音
第6章 覚悟



「あれは…!?」


直愛を始めとする兵達が次々に声を上げる。

それもそのはず…。

次々に川岸へ上がって来る笹川の騎馬軍勢の中央に異形な雰囲気を放つ存在が居る。

人一倍、大きな馬…。

由の国を示す真っ赤な国旗…。

その赤の中で真っ赤な夕日に照らされる黄金の甲冑を来た山の様な大男。

長く金色に光る鬣(たてがみ)が付いた獅子の兜(かぶと)を被る派手な出で立ちをする巨大な男が笹川 万里という男だ。

しかも…。


「あれは、ハッタリか?」


と俺が呟く。

理由は万里が持つ槍が原因だ。

戦場で刀は殆ど役に立たぬ。

騎馬軍勢が槍を持つのは当たり前と言えば当たり前だが、万里の槍は人の背3人分の長さがある。

あんなもんを馬の上で本当に振り回せるならば万里はかなりの怪力という事になる。

この場で万里という異形の者の姿を晒す事でこちらの兵の士気を下げる作戦は充分に成功してる。


「由国、50万を預かる兵士長、笹川 万里だ。そちらの大将の名を明かせっ!」


大男が吠える。


「行くぞ。」


呼ばれた以上は俺は防壁を守る兵の前へ馬で出る。


「神路殿っ!?」


直愛だけが怯える。

あの大男に元服したばかりの若造が姿を晒せば由の指揮はますます高まるとわかってる。

それでも俺が大将だ。

万里の呼び出しから逃げれば俺の恥は由と蘇だけでなく世界中に晒される。


「俺が蘇の大将、西方次期領主、黒崎 神路だよ。オッサンっ!」


俺は防壁のこちら側から笹川軍勢に向かって叫ぶ。


「お前があの大河の拾われっ子か?」


万里が豪快に笑い飛ばす。

大河の拾われっ子…。

何度も浴びせられた俺への中傷…。

この程度は今更だと俺は笑う。

直愛同様に怯える鈴が俺にしがみつく。

俺はこの子を守ると決めた。

こんな所で絶対に負ける訳にいかないのだと何度も自分に言い聞かせ続けた。


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