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強姦魔
第5章 里見家の悲劇
「はい、公園前派出所ですが……えっ、里見さん宅で女性の悲鳴が聞こえる?……黒い車が1時間以上前から家の前に停っている……はい、はい、ええ、状況は分りました。いいですか、家に飛び込んだり無理しないで下さいよ、今、すぐに駆け付けますから」
午後3時過ぎ、派出所勤務の警察官が定例の見回りから戻った時、自治会副会長の兼子淑江から緊急通報が入った。くつろいでお茶を飲んでいた同僚警察官が慌てて所轄地域の巡回連絡カードと地図を広げた。
「里見さんですか……ご主人と奥様の二人暮らし、車は持っていませんね。新たに増設された住宅地で、周りはまだ空き地ですね」
「ということは、例の強姦事件に似ているな」
「とにかく急ぎましょう」
「よし、行こう」
だが、彼らが駆け付けた時、既に男の姿は無く、泣き崩れる美知恵を兼子淑江が抱き締めていた。