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幻の果てに……
第1章 誘惑
「あっ」
塊が抜かれ、熱が離れて行く。
「奥さん。ホラ、俯せになって」
私は何とか体を動かし、彼の言う通りにする。
俯せになるとシーツに乳房が潰され、愛撫されているよう。
「あぁんっ!」
腰を持ち上げられ、すぐにバックからの挿入。
腕で立とうとしても、激しすぎる快感から力が入らない。
俯せたままでいると、乳房が揺れて乳首がシーツへ擦れた。
「はぁっ、んんっ」
それも刺激になり、膝で立っているだけがやっと。
続けられるグラインドに、眩暈がしてくる。
「あっ、あぁっ、ヤぁっ」
「奥さんっ、イきそう? 一緒にイこうよっ」
翔の言葉に誘われるように、全身が震えた。
「あんっ、もうっ、ヤっ、んんっ、あぁんっ! んっ……」
少しして彼の溜息も聞こえ、腕を放されてシーツへ落ちる。
「あぁっ……。はぁっ……」
イった後の気怠さと、整わない呼吸。
そのままでいると、煙草の香りがしてきた。
「悦かったよ。いやらしいのに、締まりもいいいし」
彼が隣に俯せてきて、枕元の灰皿に灰を落とす。
「今のカノジョ、遊んでたから締まりが悪くて」
顔を向けると、笑いながら煙を吐き出していた。
「シャワー、先に浴びる?」
頷いてから、体を隠すようにしてバスルームへ行く。
今まで挿入され、全てを見られていた相手なのに。
セックスが終わると、急に恥ずかしくなる。
髪が濡れないように乳首や秘蕾を洗い、服に着替えてベッドへ戻った。
「先に、帰るね……」
「ああ」
振り向かずに部屋を出る。
ラブホテルを出ると、秘密の時は終わり。
さっきまでの出来事が、幻へと変わる。
愛の存在しないセックス。ただ、悦楽を求めるだけ。
それで構わない。
もう終電も終わり、駅前でタクシーに乗った。