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女子高生香織の痴漢列車
第1章 痴漢列車
 男は目を細めると、口の端から舌をちろりと出し、唇を舐めた。その様子はどこか爬虫類じみた印象を与え、香織は身震いした。
 次の瞬間、

(ひゃっ!)

 再びお尻に何か触れる感触。ただ当てられていた今までと異なり、今度は思いっきり鷲掴まれる。今度こそ間違いない。この男は痴漢だ。羞恥と怒りで顔が火照る。

 痴漢なんて人間の屑だ。もしも自分にやってくる不届き者がいれば、しっかりと手を掴んで大声を出して、公衆の面前に晒し上げてやろう。犯人は刑務所でしっかりと自分の罪を悔いるがいい。

 テレビなんかで痴漢のニュースを見るたびに、しっかり者で正義感の強い香織はそう思ってきた。
 しかしいざ自分がその立場になってみて初めてわかる。とてつもない恐怖に支配され、声など全く出せないのだ。必死に口をぱくぱくさせる香織だったが、漏れてくるのはかすれた音だけだった。
 その様子を見ていけると思ったのだろうか。男の手は大胆にもスカートをたくし上げ、下着越しに香織を触り始める。生暖かい、意外にも滑らかな男の手の感触が、薄い布越しに伝わってきた。
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