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泥だらけのお姫様
第4章 本性はあまりに残酷で醜くて

 優希の小学校の卒業式の朝。スーツを着た優祐と私。リビングで出掛ける前に見ているニュースで流れたのは、結婚している有名イケメン俳優と独身の年下女優との不倫報道。

 ニュースキャスターの女が言う。

『どうして、夫婦としかセックスしたらダメなんですかね?』

「当たり前じゃん。妊娠中に不倫して、そのままずるずるするなんて、最低」

 はぁ……。と深い溜め息が後ろの優祐から漏れ出る。

「何?」

「まあ、この俳優さんはな、こんな美人な奥さんいるのに何で? って思うけど、枯れたオバさんより若い女のほうが普通はいいだろ……」

「何よそれ! それじゃまるで私が……」

「喧嘩はまた今度な。卒業式、遅刻するだろ……」

 私は無言で頷いた。いつからこんなに人の顔色ばかり伺うようになったのだろう。もっと言い返せたならいいのに。ママ友会でも、家でも……いつも、いつも、下から目線ばかり疲れる。対等に喧嘩して勝つことも私にはできない。悔しくて涙が出てきそうなのをグッと……堪えた。
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