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泥だらけのお姫様
第4章 本性はあまりに残酷で醜くて


         ***

 それからすぐに垣ノ内優衣さんは、会社を退職したそうだ。寿退社らしい。あのハゲ親父から連絡があった。大阪からは離れた北海道に行ったらしく、優祐は左遷にはならなかったが、数万円の減給にはなった。

「なんて、恥ずかしいことをしてくれたんだ! なんで、勝手に人の携帯を見るんだ!」

 と優希が友達の家に遊びに行ってる日曜日に怒鳴られた。不倫に手を染めたほうが悪いのに理不尽だ。

「だったら、見られたくないことなんてするな!」

と言うと、

「お前が魅力的じゃないのが悪いんだ!」

ととんでもない持論をぬかした。

 そんな口喧嘩からほどなくして、優希は、中学~大学までエスカレーター式の東京の全寮制の学校に入学が決まった。優祐の遺伝で頭は良く、面接は仲のいい夫婦を装い、乗り切ることができた。
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