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狼に囚われた姫君の閨房録
第18章 禁門の変
私は勝手場で襷を口にくわえ、腕に通して着物を襷掛けにする。裏の井戸で冷やしたスイカをまな板に置いた。
市中見回りのお礼にと、町民から届けられた大きなスイカだ。総司も平助も喜ぶだろう。
私は出刃包丁でくし形に切り始めた。
「これは美味しそうな水菓子ですね」
裏口から、留守役の山南が現れた。
「兄上さまたちにお持ちするところです。一緒にいかがですか?」
「馳走になりましょう」
山南は食器棚の壺の食塩を小皿に盛った。気の利く人である。
「山崎くんから伝令がありましてね。新選組は九条川原で待機を命ぜられたそうです」
「新選組は後方支援と聞きましたが」
私が包丁を動かす手を止めると、
「会津や桑名藩(所司代)だけでなく、薩摩藩も出張っていますからね。新選組は出しゃばれないんですよ」
山南のメガネの奥の目が光った。
外様大名の薩摩藩を信用はしていない。だが、会津藩の面子を潰すわけにもいかないということか。
「今のところ、斎藤くんは怪我一つしてないようです。安心してください」
私の頬が紅潮するのがわかった。
「一兄上さまのことが心配なわけじゃ……」
「恍けずともよろしい。土方くんや原田くんも君を憎からず思っていますが、君の気持ちは斎藤くんと沖田くんの間で揺れ動いているのでしょう?」
私が答えずにいると、山南はスイカに手を伸ばした。塩をひとつまみ振り、言葉を継いだ。
「誰を選ぼうと君の自由ですが、忘れないでください。君は新選組の所有だということを」
「……分かっています」
私は新選組の愛玩人形。求められれば伽に応じ、夜の相手を努めなければならない。それが大老の姫ではなくなった私の、新選組での存在意義なのだ。
「忘れていません……己が立場は」
「よろしい」
山南はスイカにかじりついた。
「いい味です。早く沖田くんたちに持っていっておあげなさい。喜びますよ」
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