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狼に囚われた姫君の閨房録
第19章 伊東甲子太郎の入隊
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「何者じゃ?無礼であろうが!」
つか袋の懐剣を握りしめたまま、私は侵入者を威嚇した。
左之助や新八と同年齢だろうか?攻撃的な空気を纏った男が、遠慮なく近づいてくる。
「新しく加わった隊士に決まってるだろうが。他の誰が新選組の屯所にいると思うんだよ?」
私に顔を近づけ、吐き捨てる男。
「名乗れといっている!」
「俺は伊東甲子太郎の弟、鈴木三樹三郎。局長様の娘にご挨拶にうかがったんだよ」
「私は近藤が娘、すみれ。遠路、大義でございました」
私はさりげなく身を離した。蛇に射竦められているように、体が震える。
「挨拶は受けました。お引き取りを」
「ずいぶん、つれねえじゃねえか。さっさと、出て行けってか」
「ここは我が私室。兄たち以外、立ち入り禁止にございます。ご遠慮を」
「生憎だな。俺はまだ、この場にいてえんだよ」
廊下に出ようとする私を、三樹三郎は両手を壁について遮った。
いわゆる、壁ドン。私は三樹三郎の両腕に阻まれて身動き取れなくされた。
「下がれ!無礼なっ」
「いやだね」
「人を呼びます!誰かある!!誰か……」
それ以上は言えなかった。三樹三郎の唇で塞がれたから。
つか袋の懐剣を握りしめたまま、私は侵入者を威嚇した。
左之助や新八と同年齢だろうか?攻撃的な空気を纏った男が、遠慮なく近づいてくる。
「新しく加わった隊士に決まってるだろうが。他の誰が新選組の屯所にいると思うんだよ?」
私に顔を近づけ、吐き捨てる男。
「名乗れといっている!」
「俺は伊東甲子太郎の弟、鈴木三樹三郎。局長様の娘にご挨拶にうかがったんだよ」
「私は近藤が娘、すみれ。遠路、大義でございました」
私はさりげなく身を離した。蛇に射竦められているように、体が震える。
「挨拶は受けました。お引き取りを」
「ずいぶん、つれねえじゃねえか。さっさと、出て行けってか」
「ここは我が私室。兄たち以外、立ち入り禁止にございます。ご遠慮を」
「生憎だな。俺はまだ、この場にいてえんだよ」
廊下に出ようとする私を、三樹三郎は両手を壁について遮った。
いわゆる、壁ドン。私は三樹三郎の両腕に阻まれて身動き取れなくされた。
「下がれ!無礼なっ」
「いやだね」
「人を呼びます!誰かある!!誰か……」
それ以上は言えなかった。三樹三郎の唇で塞がれたから。
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