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狼に囚われた姫君の閨房録
第21章 伊東の企み
十一月になった。
新選組はいよいよ忙しくなった。
夜が明けるやいなや、朝当番の隊士たちは市中見回りに出かける。門で、隊士たちを見送る山南の姿があった。
起き抜けでまともに化粧もしてないけど、私は山南に近づいた。
小砂利を踏む音がしたのだろう。呼びかける前に、山南は私を見た。
「おはようございます。いい朝ですね」
少し痩せたが、相変わらずの穏やかさであった。
「はい、今日も秋晴れになりそうです」
挨拶を返すと、私は山南を見上げた。
「外にお出になれたのですね」
「伊東さんが歳三君を説き伏せましてね。『彼のような有為の人材を失うのは、新選組の損失である』と熱弁を奮ってくれましたよ」
「伊東どのが……」
「兄者も口添えをしてくれましてね。命を一つ拾ったということですよ」
「ようございました……本当に」
私は涙に咽んだ。
歳三が山南に腹を切らせるはずはないとわかってはいた。だが、総長室の前に竹矢来を結わえられ、蟄居している山南を見るのは、やはり辛かった。
「君にも、心配をかけましたね」
「いいえ……いいえ……」
「久しぶりに君の手料理を食べたくなりました。ご馳走していただけますか?」
「喜んで!」
目を上げたとき、斜向かいの前川邸(伊東甲子太郎たちが寝起きしている)の二階から、こちらを窺う者があることに気付いた。
(知らぬ顔をしていてください)
山南が私の心にささやいてきた。
(伊東派の篠原泰之進でしょう。私を監視しているのですよ)
(……どうしてですか?)
(伊東さんはどうやら、私を取り込みたい様子なのです)
(え……)
(少し近づいてみるつもりですが、心配はいりませんよ。うまく立ち回りますから)
「さあ、朝餉にしましょう。君の味は久しぶりだから、楽しみですよ」
山南に背を押されるようにして、私は屯所内に戻った。
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