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狼に囚われた姫君の閨房録
第21章 伊東の企み
にぎやかな朝餉が終わった。兄たちも山南の謹慎がとかれたことが嬉しいらしく、いつもより話が弾んだ。
厨房で洗い物をすませ、私は総長室に向かった。掃除をしようと思ったが、整理整頓された室内は塵ひとつない。
(さすがと言おうか……)
散らかし放題の兄たちとは雲泥の差だ。文机を乾拭きだけしようかと、私が雑巾を使い出したとき、
「山南総長はこちらか?」 
伊東甲子太郎が入室してきた。
「いいえっ」
気配を感じなかった。私は思わず飛び退いた。
「おじ上……いえ、総長は副長と会津藩邸に出かけておりますが」
「容保公のところへか?何のために」
「此度のことでは容保様にもお心を痛められ、そのお詫びに参るのだと申していました」
「この伊東を差し置いてか?そんな話は聞いておらんぞ」
細面の伊東の顔色が変わった。
「総長を許してくれるように計らったのは、この伊東だというのに。二人だけで、会津藩邸に赴くとは!」
あぁ、面倒なことになった。どうやって、言い繕おうか?
私は頭脳をフル回転させた。
「そのことを容保様はご存知ありません。だから、総長と副長だけをお招きになったのかと。今頃、伊東どのの功績について話されていましょう」
「なるほど。そういうことか」
「そういうことでございます。ところで、総長室に何用でしたか?」
「実はな、局長のお声がかりで勉強会をすることになったのだ」
「勉強会?」
「隊士たちは読み書きすらできない者が少なくない。それでは困るので教えてやってほしいとの指示である。総長にも協力を仰ぎたかったのだが、戻ったらそう伝えておけ」
伊東は総長室を出ていった。
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