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狼に囚われた姫君の閨房録
第25章 一との別離
慶応三年、三月のある日。
晴天である。雲がゆるやかに流れていく。
麗かな陽射しの中で、歳三の怒鳴り声が響き渡った。
「新選組を抜けるだあ!?どういうこった?伊東参謀。話によっちゃ、ただじゃおかねえぜ」
私は草を取る手を止めて、声のした方向に向かった。
西本願寺に作られた新選組の会所。大広間で、父と歳三と伊東が睨み合っていた。
「人聞きの悪い。私は新選組から分離したいと言っただけだが?」
私は丸い刈り込みの陰で、聞き耳を立てた。
「脱退は法度違反だ。わかってんだろうな?」
「むろん」
「法度違反は切腹!それも承知だな?」
「いうまでもない。だが、分離にそれは当てはまるまい」
伊東は懐から、書状を取り出した。上書きに『下』とあった。
「控えよ、土方歳三、近藤勇。朝廷よりの勅命である!」
伊東は書状を開いて、二人の目の前に突きつけた。
父は反射的に平伏した。歳三も手をつかえたが、頭は下げなかった。
「両人ともに、孝明帝が崩御されたのは存じておられよう」
孝明帝の崩御は、慶応二年の十二月二十五日だ。享年三十六。死因は天然痘である。ご遺体は後月輪東山陵に眠っている。
「その御陵衛士を拝命したのだ」
つまり、墓守りをせよと命ぜられたいうことだ。
「はなっから、話は決まってるじゃねえか。許可じゃなくて、報告しただけってことか」
歳三が眉を吊り上げた。朝廷の指示となれば、断ることなどできようもない。
伊東は唇の端に薄笑いを浮かべた。
「局長にご異存はありますまいな?」
「異存などないが……」
父は慎重に口を開いた。
「君の報告というのは、御陵衛士になるということだけかね?ほかに、あるのではないか?」
「さすがは局長。離隊するにあたって、幹部隊士を二名いただきたい」
「その二名とは?」
「八番組組長、藤堂平助。三番組組長、斎藤一。この両君をもらい受けたい」
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