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狼に囚われた姫君の閨房録
第3章 京へと
芹沢鴨はずぶ濡れになった。試衛館の人たちと睨み合っていた、芹沢配下の新見錦や平山五郎も一緒に。
「ぶはっはっはっ! なんだ、雨か?」
まともに、水が鼻腔に入ったらしい。人相の悪い新見錦がえずいた。
「馬鹿な、今の今まで、雨など……」
びしょ濡れの髪をかきあげて、隻眼の平山五郎が空を見上げる。
広がるのは、篝火という灯りを失った真っ暗闇。空を覆い尽くした煙のせいで、星空は見えない。
奥で、稲光りが閃く。雨が近づいてるようだ。
「近藤くん!」
絞れば盥いっぱいになりそうな水を袴から滴らせ、芹沢は声を張り上げた。にわか雨が来たと勘違いしたようである。
「座興はこれまでだ。さっさと部屋に案内しろ。俺に風邪を引かせる気か?」
「最初から、そう言ってりゃ良いのによ」
頬を膨らませる新八を、父は穏やかな目で抑えた。
「ご案内しますとも。最上階の特別室でござる。露天風呂もあります。料理も最高級のものをお揃えしました」
芹沢鴨は満足そうにうなずいた。
誠実さでは抜きん出ている父である。どんな傲慢な男といえど、父の柔和な姿勢にこれ以上我を張ることなどできはしまい。
騒ぎがおさまり、野次馬たちも散り散りになった。
「ふふふっ! ほほほほ〜っ!! わが父への侮辱、思い知ると良いわ」
満足して布団に戻ろうとした私と、宿に引き上げようとした歳三の目があった。
その目は、爛々と怒っていた。
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