この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
狼に囚われた姫君の閨房録
第3章 京へと
私が寝ていた部屋の襖が荒々しく開けられた。
「すみれっ、お前!」
怒鳴りながら入ってきたのは、歳三だった。
「芹沢に水をぶっかけたのは、お前だろ!」
宿中に轟く声だったけど、私はたじろがなかった。
「雨に降られただけにございましょう。妖じゃあるまいし……」
「しらばっくれるんじゃねえ!」
歳三は私の言葉をはげしく遮った。こういうのを鬼の形相と言うのだろう。
「お前の特殊能力を無闇に使うなって、大老から言われてただろうが!」
私の表情が強張るのがわかった。
なぜ、知っているの?知っているのは、亡き父の直弼のみなのに。
「お前を託す時、大老はすべてを話したんだ」
私の心を読んだように、歳三は言い募った。
「『すみれには不思議な能力がある。西洋では超能力、日本で言うなら仙術といったところか。それは、善にも悪にもなる。すみれに使い方を誤らせるでないぞ』とな」
「暴走させるなと言うことでしょうか?」
「今度、あんな真似してみろ。ただじゃおかねえ」
私が黙っていると、
「返事は?」
歳三が畳み掛ける。
「申し訳ありません。言いつけには従えません」
「なんだとっ」
「桜田門外の変の折、私は父を失いました。知っていたら、むざむざ死なせなかった……後悔しております」
「……」
「父はおのれの死期を悟っていました。ならば、私に言ってくれていたら……」
「浪士たちを皆殺しにしてた、か?」
歳三の問いかけに、私は強くうなずいた。
念動力や心話(テレパシー)を使えても、私に予知能力だけはない。それがどれほど悔しいか、歳三に話してもわかるまい。
「言ってくれるじゃねえか」
歳三がまたも、私の心の声に答えた。私は弾かれたように、歳三を見た。
「気持ちがわからねえって?そんなわけないだろう。大老を助けたかったのは、俺たちも同じなんだよ!」
「兄上さま、どうして……」
私は声を震わせた。
能力者同士なら、私は相手の心が読める。なのに、義兄たちの心を読めたことは一度もなかった。
と言うことは、義兄たちは普通の人ではないの?
「俺たちは全員、精神に防御壁(シールド)を張ることができる。読もうたって、読めやしねえよ」
私は後退りした。身の危険を感じたのだ。
「遅えよ。俺のいうことが聞けねえってんなら、聞けるようにしてやる!」
私は歳三の腕の中に手繰り寄せられた。
/277ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ