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狼に囚われた姫君の閨房録
第32章 試衛館での出会い
【第三者視点】
話は数年前に遡る。
秋の終わりごろ。陽が沈み、空が茜色に染まった。
沖田総司は試衛館の庭の枯れ葉を竹箒で集めていた。
「今年は雪が早そうだな」
身震いすると、総司は集めた枯れ葉に点火した。さつまいもをいくつか焚き火に突っ込む。
「うまそうじゃねえか」
石柱の門で剛気な声がした。
「焼けたら、ご馳走してくれよ。歩き詰めで腹減ってな」
髪を短く刈った男が石柱にもたれていた。よく灼けていて筋肉質。総司に見覚えはなかった。
「誰さ?あんた。見ず知らずの人に、どうしてなけなしの芋を分けなきゃならないわけ?」
総司が突っぱねたが、相手は機嫌よく応えた。
「俺は神道無念流の免許皆伝・永倉新八だ。遠路からきた食客にはもてなすもんだろ?」
「こんな尊大な入門希望者がどこにいるのさ?」
「入門じゃねえよ。食客だ」
長身の男が現れた。容姿端麗、長槍を肩に掛けていた。
「俺は伊予藩浪人・原田左之助。試衛館に招集されたんだ。道場主はいるかい?」
「出かけてる」
「塾頭は?」 
「塾頭なら、僕だけど?」
「マジかよ?お前、同い年くらいだろ?」
叫んだのは、新八でも左之助でもなかった。二人の後ろから顔を覗かせた少年だった。
小柄で童顔。すばしっこそうな身のこなしである。
総司は薄笑いを浮かべた。
「信じないなら、勝負する?僕は沖田総司」
「俺、藤堂平助。北辰一刀流だよ。けっこう、強いぜ」
「みんな、同じことを言うね」
勝った者は一人もいないけど……総司は心の中で嗤った。
「道場に行こうか?」
「おう、望むところ……」
「待ってください」
平助が言うのを、丸眼鏡をかけた男がさえぎった。学者風で、二十代半ばだろうか?
「仙台藩脱藩・山南敬助と申します。我々は腕試しにきたわけではありません。こちらの主に招ばれたのです。取り次いでいただけますか?」
「だから、外出してるってば」
「ならば、待たせて頂こう」
また一人、現れた。
髪は濃い紫色。切長の目。唇は鮮やかな薄紅色。
一目で、只者ではないとわかる。
「もと明石藩・斎藤一。道場主に用があってまいった」
総司はうんざりと吐息した。
「なんで次から次へと……わかったよ。広間に案内するから」
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