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狼に囚われた姫君の閨房録
第34章 近藤勇、処刑
数日が過ぎた。
天璋院さまは義母・本寿院様と一橋邸に身を寄せた。
和宮さまは京に戻られた。
私は新選組に戻ることもなく、慶喜公が謹慎している上野寛永寺に送られた。

ある朝、私は紅茶を淹れると、慶喜公の暮らす離れを訪れた。二間続きの手狭な居室。朝餉のあと、慶喜公は机に向かうのが習慣だった。
「お邪魔を致します。紅茶をお持ちしました」
一声かけて入室すると、床に写真が広げられていた。様々な角度から撮られた江戸城だった。
「江戸城でございますね?美しゅうございますこと」
私は窓際の卓子に紅茶のカップを置いた。慶喜公は英国の紅茶と写真機にはまっている。
「この城のあるじであったことは予の誇りよ」
慶喜公は椅子に腰を下ろした。
「開城の折は骨をおらせたな。天璋院も礼を言っていた」
「江戸城の終結を見届けるしかできませんでしたのに……」
「本来、予のなすべきことだった。よくやってくれた」
立ったままの私を引き寄せると、慶喜公は膝に乗せた。
なんだか、痩せたようだ。手足が細くなり、ほおもこけた。
慶喜公は私の耳に唇を寄せた。
「新選組の消息がわかったぞ」
私は反射的に慶喜公を見た。甲州勝沼の戦いに敗北した後、新選組は行方しれずだった。
「永倉新八と原田左之助は隊を離脱。斎藤一も別行動をとっているそうだ。鉄の結束が今や見る影もないな」
「そのようなことに……」
私は慶喜公の腕にしがみついた。新八と左之助が離隊し、一が別行動とは信じられない。
小刻みに震える私に、慶喜公はさらに衝撃的なことを告げた。
「近藤勇が新政府軍に投降したそうだ」
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