この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater44.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狼に囚われた姫君の閨房録
第39章 鶴ヶ城の悲劇(後編)
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
私の薙刀が新政府軍を薙ぎ払う。血飛沫が孤を描く。
勢いで、後ろの敵を袈裟懸けにする。相手は声もなく絶命した。
「おのれっ」
敵は歯軋りして、二人まとめて襲いかかってきた。
私は二人の後ろに瞬間移動した。標的を見失った二人の背中を斬りつける。
一撃!二撃!!
小柄な男が崩れ落ち、大柄な男が重なって崩れた。
(どれだけ斬ったか……)
息が上がり、肩が上下した。薙刀を振るう腕が痺れ、声を上げる力もない。
だが、私は敵を斬り続けた。
「すみれ姫さま!」
死装束の全身に返り血を浴びた竹子が駆けてきた。
「斎藤一さまのいどころがわかりました!!」
「なんとっ」
「如来堂に追い詰められ、敵に囲まれております!」
「数は?」
「新政府軍は二百。立てこもった新選組は二、三十人ほど!」
私は胸を抑えた。やっと一の消息が掴めたのに、追い詰められているとは……!
「姫さま、斎藤さまの元にお行きなさいませ!」
「バカな!戦場で私情を挟むなど……」
「私情ではありません。窮地に陥った味方を救うのでございます」
「……っ!」
遠くからの殺気に私が反応したのと、竹子が私を突き飛ばしたのが同時だった。
銃声が一発轟いた。
竹子は額を撃たれ、宙を舞った。半回転して、斜面を転がった。
「竹子どの〜っ」
私は急斜面を駆け下り、竹子を抱き上げた。
「気をしっかりもつのじゃ!傷は浅いぞえ!!」
嘘である。眉間を撃ち抜かれているのに、助かる術があろうか?
「姫……好きな殿御のところに……早う……」
言った後、竹子は絶命した。
恋すら知らずに戦場で散った花一輪。私にその代わりをしろというの?
勢いで、後ろの敵を袈裟懸けにする。相手は声もなく絶命した。
「おのれっ」
敵は歯軋りして、二人まとめて襲いかかってきた。
私は二人の後ろに瞬間移動した。標的を見失った二人の背中を斬りつける。
一撃!二撃!!
小柄な男が崩れ落ち、大柄な男が重なって崩れた。
(どれだけ斬ったか……)
息が上がり、肩が上下した。薙刀を振るう腕が痺れ、声を上げる力もない。
だが、私は敵を斬り続けた。
「すみれ姫さま!」
死装束の全身に返り血を浴びた竹子が駆けてきた。
「斎藤一さまのいどころがわかりました!!」
「なんとっ」
「如来堂に追い詰められ、敵に囲まれております!」
「数は?」
「新政府軍は二百。立てこもった新選組は二、三十人ほど!」
私は胸を抑えた。やっと一の消息が掴めたのに、追い詰められているとは……!
「姫さま、斎藤さまの元にお行きなさいませ!」
「バカな!戦場で私情を挟むなど……」
「私情ではありません。窮地に陥った味方を救うのでございます」
「……っ!」
遠くからの殺気に私が反応したのと、竹子が私を突き飛ばしたのが同時だった。
銃声が一発轟いた。
竹子は額を撃たれ、宙を舞った。半回転して、斜面を転がった。
「竹子どの〜っ」
私は急斜面を駆け下り、竹子を抱き上げた。
「気をしっかりもつのじゃ!傷は浅いぞえ!!」
嘘である。眉間を撃ち抜かれているのに、助かる術があろうか?
「姫……好きな殿御のところに……早う……」
言った後、竹子は絶命した。
恋すら知らずに戦場で散った花一輪。私にその代わりをしろというの?
![](/image/skin/separater44.gif)
![](/image/skin/separater44.gif)