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狼に囚われた姫君の閨房録
第43章 修羅の魂、覚醒
私が試衛館に戻ったのは、長梅雨が続く夏だった。陽射しは弱いが、蒸し暑い。
「ただいま」
軋む板戸を開けても、返答はない。
近藤勇の妻と娘は歳三の生家に身を隠している。門弟たちも今はいない。
(その方が好都合)
私は草履のまま、座敷に上がった。
廊下は穴だらけ、畳もあちらこちらがむしれていた。障子は破れてるし、天井には雨漏りの跡があった。
私は真っ直ぐに囲炉裏の間に進み、天井を見上げた。
「んっ」
天井裏に瞬間移動する。
埃だらけの天井。鎮座する白い布で包まれた桐の箱。
うっすらと光を放つそれは、近藤勇の首級だ。
(これさえなければ……)
私は箱を持つと、庭の石組みに叩きつけようとした。その手首を掴まれる。
「おい、なんの真似だ?」
顎に無精髭を生やし、乞食のようなボロ布をまとった永倉新八だった。
「永倉新八か。そなた、生きていたのか?」
「俺は不死身でな。おやっさんの首級をどうする気だよ?」
「叩き壊す。これがあっては、私のためにならぬ」
「なんだと?」
私の手首を掴む新八の力が強くなった。みるみる、新八の顔色が変わる。
「お前、すみれじゃねえな?何もんだ!?」
「わかってるのではないのか?」
「修羅か?修羅の魂が目覚めちまったのかっ」
新八は私の手を離すと、刀に手をかけた。すらっと抜き放ち、刃を私に向ける。
私は後ろに飛びのいて、空中から剣を出した。
「大老の命だ。お前を粛清する!覚悟はいいな?」
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