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狼に囚われた姫君の閨房録
第45章 局長命令!すみれを殺せ!!(その一)
【山南視点】
草いきれがすごい。陽射しに全身を灼かれそうだ。
私は汗だくになった。
(先程まで冬だったのに、いきなり夏とは……)
並の蒸し暑さではない。頭がぼんやりとしてきた。
体力を奪う作戦か。やってくれる。
「隙あり!」
すみれの薙刀が私に振りかぶった。それを刀で弾く。
「私に不意打ちが通用するとでも……ん?」
錯覚か?
すみれの薙刀が蛇のように身をくねらせた。私の刀に捻った身を絡ませて、薙刀の先が牙を向いた。
「くっ!」
喉笛に食いつかれる寸前、私は身を逸らした。と同時に、脇差ですみれに斬りかかる。
空中で一回転して、城壁の屋根瓦に移動するすみれ。
「さすがは小野派一刀流。剣術では一枚上のようじゃな」
「これでも新選組の総長ですからね。甘く見てもらっては困りますよ」
「ならば、特殊能力の勝負といこうぞえ」
「願ってもないところ」
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