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狼に囚われた姫君の閨房録
第13章 芹沢鴨暗殺
考えるより先に、足が畳を蹴った。
私は空中を走った。憎悪のこもった懐剣が蒼白く光る。
目指すは、芹沢の首の頸動脈。私は真上から斜め下に一閃した!
「ぐっ!」
真っ赤な血が首筋から噴き出た。
芹沢ではない。私の首筋だ!
(これは一体……!)
私は真っ逆さまに畳に落ちた。
起き上がって、首筋に手を当てる。どくどくと、鮮血が溢れていた。
「すみれちゃん、じっとしてて!」  
総司が慌てて手拭いをたもとから出し、私の首筋に当てる。
なかなか、血が止まらない。呆れるほどの切れ味だ。
「芹沢への攻撃は……全て、我らへと跳ね返る」
血だらけの一が私を守る態勢をとる。深傷なのか、肩が上下している。
「……天狗党の頭領だっただけのことはある。これほどの能力者とはな」
「ムカつくぜ!何をしても、切り傷すら付けられやしねえ!!」
吠えたてる新八に、芹沢の哄笑が被った。
「どうした?お前ら。俺を斬るのではなかったのか〜」
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