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狼に囚われた姫君の閨房録
第16章 池田屋事件(後編)
元治元年の六月五日。夜八時頃。
陽が沈んでも、油蝉の声が耳をつんざく。風が全くないから、よけい暑い。
私は父たちと池田屋をうかがえる裏路地に潜んでいた。
蒸し暑いのに、池田屋の二階の一室の窓は閉まったままだ。玄関も閉まり、浪人が何人も裏口から入っていった。
「こっちが本命か」
総司が呟いた。
「永倉くん、歳たちに心話(テレパシー)で知らせてくれるかね?」
父が声をひそめ、新八は力強く頷いた。私には無理だが、義兄たちは心の中で会話ができるのだ。
「あれ……おい、左之助……一……」
しばらくして、新八が怪訝な顔になった。
「どうかしたのか?新兄ぃ」
平助が訝しむと、
「心話が伝わらねえんだ」
新八は太い眉を寄せ、低く答えた。油断なく、周りに視線を巡らせる。
「雑音しかしねえ。誰か、妨害してやがる」
心話というのは、心の波動を相手に伝えて頭の中で話すことだ。それを妨害するというのは、能力者でなければできないのである。
「あの中に能力者がいるということですか?」
私が池田屋の二階を見上げると、
「局長、俺が四国屋に知らせに行きます」
いうや否や、相馬が四国屋に向かって走り出した。
「やむを得ん。会津藩は到着していないが、我らだけで踏み込むぞ!」
父が下知するのと同時に、平助が池田屋の板戸を蹴り倒した。隊士たちがなだれ込む。
「新選組、御用改めである!おとなしく、縛につけ!!逆らうものは容赦はせん!!!」
父の怒号が響き、血で血を洗う騒動の幕開けとなった。
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