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幼稚園から始まって高校生になったなら。
第7章 フランシスコ異人館
 透と柚希は仲が良かった、その上家も隣同士だったから何もなくとも二人でよく遊んだ。

 近くの観音山まで探索に行ったり、境川の河原までザリガニを取りに行ったり、夏休みには夜の神社に夏祭りに出掛けたり。

 他にも蛍を見に行ったり近所の駄菓子屋にお菓子を買いに行ったり、自転車で少し遠出をして隣町まで出向いたりもした。

 家族同士も仲が良かったから時にはそれぞれの両親と共にボウリングやプール、遊園地、動物園など主だったアトラクション関係にはみんな行った、行き尽くした。

 ところが。

「ねえパパ、ここってなんなの?」

「こら、こんなところに来ちゃいけないよ!!」

 興味を抱きながらも二人が行けていない場所が一つだけあった、西橋本にある漆黒の洋風建築物“フランシスコ異人館”だ。

 ここは毎晩のように二つのサーチライトを夜空に向けて照射してはグルグルと回すという、今にして思えば相当にエキセントリックかつ大胆なパフォーマンスを行っていた、出力も相当なモノであったらしく、曇りの日にはそれが雲に反射して、かなり離れているはずの透と柚希の実家からもハッキリと確認することが出来たのだ。

 ちなみにここは何をする場所だったのか、と言えばそれは知る人ぞ知る、恋人たちの憩いの場、ようするにラブホテルだったわけであり小学生でありながらもそんな場所に興味を持ってしまった二人を親たちが咎めたのも、無理からぬことだったと言える。

 ただそれは遅すぎる懸念でもあった、だってこの時二人はとっくに幼なじみと言う境界線を突破して身も心も重ね合わせる関係になっていたのだから。

「はあはあ・・・。あははっ、あはははははっ!!」

「くふふふっ、あははははははは・・・っ。ひゃあぁぁぁぁあんっっ♥♥♥♥♥♥♥」
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