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おとなりの、ひとづまと。
第2章 鬼畜な人妻と悶々とした高校生。
 しかし、今頃我が家では父と母がセックスをしてる可能性が高い。
 知らずにいたらまだしも、それを知りつつ家に帰る勇気も度胸も持ち合わせて無かった。
 取り敢えず、居間へ向かいさくらさんをソファへと下ろした。
 そのまま寝てくれるのが、一番いい結末かも、と思ったが彼女は寝転ばずに、背もたれに身体を預けることも無く、腰掛けている。
 そして「あのさ?冷蔵庫に、ワインとチーズがあるから取って来て。あとグラスも」と、当然のごとく命令を出してきた。
 逆らう気は無かったがおれは思わず「え、さくらさん、まだ呑むの?」と余計な事を口走ってしまう。
 言ってから、余計な一言だったか、と思ったがそれに関して噛み付かれる事は無かった。
「呑むよー、呑む呑む。アンタがいやらしい手つきであたしの身体に触るから、何だか目え覚めちゃったしさぁ」
「はあ?ちょっとさくらさん、人聞きの悪い事言わないでよ。おれ、左肘骨折してんのにさ、結構必至でオンブしたんだぜ?いやらしい手つきでさくらさんの身体に触る余裕なんて無いし!」
「んでもさ?背中にオッパイ当たってラッキーって、思ってたでしょ?」
「うーん、まぁ、確かに、それは否定出来ない。けど、それにしても、おれの背中にオッパイを押し当ててたのはさくらさんだから」
「ああ、これだからガキは。そこでさ?反論とか言い訳しないで、素直に悦んでくれれば、後でもう少し触らせてやっかなぁって気にもなるんだけど、逆ギレされたら気分も萎えちゃうわぁ。ってゆーか、早くワインとチーズ持って来いってのー」
 唖然としてしまう。それにしても何という性格の悪さ!おれはぐぐぐぐぐと奥歯を噛みしめつつも、冷蔵庫へと向かった。
 逆ギレしたと全然思って無いのに、逆ギレしたと言われると、無性に腹は立つがそこから更に反論する気は失せてしまう。
 太く短い溜息を吐き、冷蔵庫を開けた。
 週末だからか、あまり食材は詰まって無い。が酒のツマミになりそうなモノは多々とあった。
 チーズは皿に切って用意されてあった。赤ワインの瓶が三本あったので一本抜き取った。
 左手が使えない今、ワイン、チーズ、グラス、オープナーと居間とキッチンをその分往復しなければならない。
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