この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
オレンジ色の世界で。
第3章 母の皮を被った名探偵。
「あのさ、母さん?」
 ぼくは、漫画を読む振りをしつつ、そう声を掛けた。
「んんー?どうしたの?お腹減ったぁ?」
 笑い話の収穫を終えた母は、気の抜けた返事をした。
「いや、お腹は減って無いよ。ちょっと、母さんに聞きたい事があるんだけど?」
「んー?なにー?」
「いや、あのさ?女の人も、自分でしたりするモノなの?」
「んー?なにをー?」
「いや、だから、それは、オナニー、だよ」
 ぼくの声は空虚に響いた。息子から母親に対し「オナニー」という単語を告げるのは、中々勇気を必要としたが、ぼくは引く事が出来なかった。
 
 暫く、母は口を閉ざしていた。
 外の暴風雨の音が、更に激しさを増した様に聞こえてくる。
 ラジオは、相変わらず淡々と気象情報を垂れ流していた。
「それは、する人もいるし、しない人もいると思う」
 母は、そう答えた。それは、恐らくこの世の中で一番狡い返答だと、ぼくは思った。
「母さんは、したことあるの?」
 ぼくは、ぼそりと呟く様に問い掛けた。小さな声だが、確実に母の耳には届いているだろう。
「したことは……あるよ。そんなに沢山ではないけど、何回かだけ、だけど」
「それってさ、最近の話?」
 ぼくの追及に、母はまた口を閉ざしてしまった。
 すぐに「昔の話だよ」と切り返してくれれば、そこでこの話は終わっていたかもしれないのに、妙な間は、ぼくに良からぬ発想の機会を与えてしまったのだ。
「ねえ、母さん?もしかして、だけど、ぼくが隠してるエッチな本を見ながら、オナニーしちゃったんじゃない?」
 また、ぼくの声は空虚に響いた。
 母からの返答は無い。要するにそれは図星、ということなのだろう。

 妙な空気が流れていた。
 暴風雨やラジオの音はあるけれど、ぼくの部屋には不思議と静けさがあった。
 そして、ぼくは次第に、この会話はもうや止めようと思う様になっていた。
 そもそもぼくには、母を悲しませたり辛い想いをさせようとは一切思って無いのだから。
 何となく、勢いで言ってしまっただけの話だ。このまま母からの返答が無ければ、今晩の会話なんて直ぐに忘れてしまうだろう。
 しかし、母は再び漫画を閉じて、口を開いた。
/55ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ