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借金のカタに妻を差し出しました 復讐編
第10章 オークション
週末の夜、井縫火露市は一人だった。
妻の志寿火は、あれから週末は家に居なかった。
娘の亜耶火も、予備校の合宿で家に居なかった。

井縫火露市は、逆崎早喜にいつもの様に電話していた。
返答は意外なものであった。
週末に少し時間があるから、会えると返事があった。

井縫火露市は週末に、家の近くのコンビニで待っていると早喜の車が迎えに来た。
早喜は週末の夜遅くに予定があるが、それまでは会えるとの事だった。
井縫火露市は初めて乗る、早喜の車に緊張していた。
投資の話をしても、早喜は乗ってこなった。

その代わり、早喜は今日行く所の説明をした。
今日、早喜が行くところは、普通の人間が入れるところでは無く、政財界のトップがプライベートで、羽目を外して遊ぶ場所である事。
そこで面白いイベントがあるので、特別に早喜の招待客として入れる事。
そして、その場所であった事は口外しない事。
井縫火露市は、突然の話に戸惑いながら、承諾していた。

早喜の車は、夜の繁華街の駐車場に入った。
早喜は車を降りて、馴れた足取りでスナックやラウンジが入居したビルへ向かい、そのまま看板の灯りが点いていない1階のラウンジに入った。

週末なのにラウンジは、営業していなかった。薄暗い店内には、黒服の男性店員がいるだけだった。

黒服は早喜を知っていて、後から入った井縫火露市を店の奥に入らないように遮っていた。

早喜は、黒服’に招待客だと告げ、井縫火露市は奥に案内され、身分証明書の提示と誓約書へ署名をして、早喜の許へ帰ってきた。

早喜と井縫火露市は、店の奥のエレベーター乗って上階へと向かった。

エレベーターが着いたのは、劇場か映画館のロビーの様だった。
黒服が、二人に深々と頭を下げ、大きな防音扉を開ける。
扉の向こうは、ステージのある劇場だった。
階段状の観客席は、広々としたボックスシートで客どうしの顔が見えないようにしてある。
観客席の最上段には、カウンターバーがあり、早喜と井縫火露市はそこに座った。
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