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第10章 オークション

「今日は、ここで待ち合わせなの。面白いイベントがあるから、誘ってみたの。」
早喜は、そう言って背中のステージに目線をやった。
井縫火露市は、何のイベントと聞くと、早喜は
「始まったら判るわ。成功したお金持ちしか見れない催しよ。」
思いがけず、場違いな場所に来た、井縫火露市は黙ってグラスに口を付ける位しか無かった。

観客席の灯りが落とされ、ステージが明るくなって、イベントがスタートした。
ステージに男性司会者が現れ、
「本日は恒例の、オークションとなります、今日の出品総数は２０となります。お手元のモニターで確認頂けます。」
最上段のバーカウンターにもモニターがあって、出品リストの詳細が映されていた。
そこには、出品ナンバーと、身長、体重、スリーサイズ、年齢が表示され、出品されるのが、女性だと判った。

「それでは、本日の品を、エントリーナンバー順に、ご紹介します。」
エントリーナンバー１番として、舞台に出てきたのは、セーラー服を着た志寿火だった。
観客席からは、笑いが漏れた。
「あらあら、若造した、可愛いのが出てきたわね。」
そんな、観客や早喜と反対に、井縫火露市は身体を振るわせていた。

ステージ上には、次々と女性が出てきては、下がっていく。
出てくる女性は、志寿火以外は２０代で着飾っていた。

２０人の女性の顔見せが、終わると、司会者がオークションの始まりを伝えた。

ステージ裏で、娘のセーラー服に身を包んだ志寿火は震えていた。
「よく出来たわ。次の用意をしましょう。」
メイド服を着た、魅久が抱きしめた。