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ワルキューレの朝ごはん
第5章 闇
煙草を口に衝えたまま、両手で必死になってマッチに取り

組むヘロデくんの姿に素っ裸でソファーに横たわっていた

サロメちゃんはイラっと来て苦笑を殺し、吸っていた煙草

を灰皿に置いて素っ裸の彼の背後から自分の手を添える。

その刹那、僕の背中は乳房の弾力を触知する、当たり前、

セックス直後サロメちゃんの長くてしなやかな指先が細い

マッチを悪戯に玩弄するのを眺め、浮らな既視感に顔を歪めるヘロデくんは変態です。

視界は慣れた様子で煙草に火
を点すサロメちゃんの指先に限られているにも関わらず、

その金色の頭毛を掻き上げて一服した煙草を背後から男の鼻先に差し出す一連の仕草を

自分自身に属さない非人格的な瞳を獲得して世界を思いも由らない相貌の元に捉えた。

(と云うのだから・・・)

嵌め殺しの窓枠に座り込む裸ん坊のサロメちゃんの方は

カクテルグラスに軽く白い指を添えてぼんやりと戸外の景色を眺めていた(態とらし)。

クリスタルの灰皿に煙草の灰を落とした彼は煙草の火を消し、 タンブラーを軽く掲げ、

乾杯をする真似をしたが、女は外を向いたままだった・・・
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