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スカーレット オーク
第26章 26 スカーレット
 ディナータイムが始まる。
小夜子は黒のサテンのドレスを着てピアノの演奏を始めた。
映画音楽のメドレーだった。

『タイタニック』から始まって最新らしいロマンティックな曲が流れる。
そろそろかなと直樹は、うっとりして聴き入っている緋紗を見つめた。
小夜子がラストの曲を演奏はじめると、緋紗がみるみるうちに赤面していく。――やっぱりな。小夜子さんもSだよな。
 直樹はこっそり笑った。

 ディナータイムも終わり緋紗は夢見心地で片付けている。
小夜子が着替えてやってき、直樹にニヤッと笑いかけたあと、頬を染めた緋紗に、「ご飯いっぱい食べた?」と、聞いた。

「はい。いっぱい食べました。あ、あのすごく演奏が素敵でした」
「ふふふ。ありがとう」
「そろそろいいよー。お疲れさん」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様です」

 直樹は、「平気?」 と、ぼんやりしている緋紗に声をかけた。

「はい。なんかうっとりしちゃって」
「わかるよ。小夜子さんの演奏はなんだか揺さぶられる感じがするよね」
「ええ。最後はドキッとしちゃいましたけど」

 小夜子の選曲が意図的であることに気づいていないようなので直樹は笑ってその場を済ませた。

「もう人も引けてるしお風呂に入ろうか」
「あ、はい」

 また二人だけの時間がやってきた。
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