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許嫁が多すぎる
第4章 許嫁理由
プレイルームでの遊戯がなくなったことで次のお世話役の千樹さくらが翔太の部屋へと向かって行くのを梨華は悔しげに眺めていた。
もともと彼女という立場のさくらは誰の目から見ても有利であることは間違いなかった。
アイドルである一条寺琴音や幼なじみである天谷聡子はまだチャンスがあるにしても、なんの面識もない上に色気もない梨華は相当焦りを覚えていた。
西尾梨華がそこまで有馬翔太との結婚にこだわるには、もちろんそれなりの理由があった。
梨華は父親の顔を知らない。
梨華が生まれる前に事故で死んだと聞かされていた。
物心つく前は母のその説明になんの疑いも抱くことはなかった。
しかし父の写真が一枚もないことや、父の墓参りをしたことがないことに気付き、父が事故で死んだのではないということを察した。
しかし女手ひとつで育ててくれる母に、父の本当の話を問い質すのは子供心ながらに酷と感じていた。
だから梨華は父の本当の行方を知らない。
『父は生まれる前に事故で死んだ』
母のその言葉を真実と受け止めて生きてきた。
もともと彼女という立場のさくらは誰の目から見ても有利であることは間違いなかった。
アイドルである一条寺琴音や幼なじみである天谷聡子はまだチャンスがあるにしても、なんの面識もない上に色気もない梨華は相当焦りを覚えていた。
西尾梨華がそこまで有馬翔太との結婚にこだわるには、もちろんそれなりの理由があった。
梨華は父親の顔を知らない。
梨華が生まれる前に事故で死んだと聞かされていた。
物心つく前は母のその説明になんの疑いも抱くことはなかった。
しかし父の写真が一枚もないことや、父の墓参りをしたことがないことに気付き、父が事故で死んだのではないということを察した。
しかし女手ひとつで育ててくれる母に、父の本当の話を問い質すのは子供心ながらに酷と感じていた。
だから梨華は父の本当の行方を知らない。
『父は生まれる前に事故で死んだ』
母のその言葉を真実と受け止めて生きてきた。