パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 許嫁理由

シングルマザーなんて言葉が普通に使われるような世の中になったからと言って、シングルマザーが楽に暮らせる世の中になったわけではない。

扶養される側であったが、梨華もそれを身をもって体験していた。

仕事は少なく、稼ぎも少ない。
それでも母子二人生きていかなくてはならない。

その厳しい現実を少しだけ助けてくれる団体があった。
有馬寡婦支援協会であった。

この団体の代表が翔太の祖父、有馬紫水であった。

有馬寡婦支援協会は支援金を無利子無担保で貸してくれるほか、託児所も完備しており、働く女性を支援してくれていた。

有馬グループはレジャー産業にも事業を拡大しており、その関係で社会福祉の取り組みとして行っていた。
それも形骸化したようなものでなくしっかりと機能したものとなっていた。

有馬紫水自身も頻繁に寡婦協会に足を運び、梨華ら子供たちとも交流を持っていた。
普段は近寄りがたい厳格さを持った紫水も子供たちにとっては優しいおじいちゃんといった感じで、気も使わずじゃれついていた。

もちろん梨華も紫水が大好きであった。