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大魔王の子を孕みます
第13章 女神



「ここは50人程度しか人間が居ない小さな村だった。」


漁で生活する田舎娘しか居ない小さな村だと思ってた。


「今の君のように、この海岸でキラキラとした目で空から降りて来た私を見てる彼女が居た。」


その子と今夜はワンナイトだと軽い気持ちでセラフが田舎娘に声を掛けた瞬間だった。


「目から火花が出そうな勢いで引張叩かれたよ。」


セラフが自分の頬を撫でて笑う。


「何故?いきなり叩かれたの?」

「彼女の妹は闇夜の夜、ヴァンパイアに殺されたからだ。」


セラフが寂しく笑う。


『貴方は大魔王なのに…、貴方は何もしない人…、そんな男に私は興味ないわ。』


そうライズの母ちゃんがセラフに怒りを向けた。

怒りを向けられたのは初めてだった。

それからセラフはムキになって彼女を振り向かせようとする。

金、銀、宝石で出来たアクセサリーに、彼女に似合うドレスや花を送り付ける。


『そんなものよりも、この海岸の夕日の方が美しいわ。』


彼女はセラフを拒絶する。


「だから城を建て、この海岸を私のものにした。」


ライズの母ちゃんはますます激怒する。

海岸は皆んなのものだとセラフを叱る。

セラフは彼女に叱られるのを嬉しいと感じていた。

初めて自分の為に叱ってくれる人だったから…。

やがて闇夜が来る。

セラフは彼女の意見を聞き、この村の周りに城壁を作る。

近隣から逃げて来た人間をセラフと彼女は安全な城壁の中へとどんどんと受け入れる。

神々は闇夜で魔族が暴れても何もしない。

神々も以前のセラフのように毎日を無駄にして自分だけの人生を楽しむだけの存在だった。

そんな神々に縋っても意味が無いと集まった人々により、ここに新たな宗教が誕生する。


「彼女は人間だったのに、女神扱いされてたよ。誰もが彼女を愛し、彼女に助けを求めていた。」


その手伝いをセラフがする。

もう人間に神々は要らない。

そんな人が集まって出来た街…。

この街だけは大魔王が魔族から守ってくれる。


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