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大魔王の子を孕みます
第13章 女神



毎日、毎晩、ライズに惹かれる。

カッコいいだけじゃない。

可愛くて愛おしいとまで思う。

だけど魔族には愛がわからない。

こんな気持ちになってるのは俺だけかと考えるだけで怖くて胸が苦しくなる。


「着いたよ…。」


ぼんやりとしてた俺をセラフがそっと地面に降ろす。


「すげーっ!」


そう素直に叫んでた。

崖に覆われた小さな海岸…。

真っ白な砂が夕日で紅く染まってる。

キラキラと輝く透き通った海…。

珊瑚礁が見えるから、きっと昼間見ても凄く綺麗な海なんだろうと胸に込上がる感動を噛み締める。

階段が付いた崖の上に城が見える。


「ここってセラフのプライベートビーチか?」


ゴミ1つない綺麗な海岸は初めて見た。


「ここは、あの子の母親に初めて会った場所だ。」


セラフが懐かしそうに話す。

あの子の母親…。


「ライズの母ちゃんか?」

「ああ…。」

「どんな人だった?」

「強くて綺麗な女だった。初めて会った私をいきなり引っ張叩き怒鳴り付けるような女だ。」


なんか、すげー母ちゃんだなと思う。

当時の大魔王様を引っ張叩くとか強過ぎるでしょ…。

身震いする俺をセラフが笑う。


「あの頃の私はやりたい放題だったからね。」


セラフが俺に昔話をしてくれる。

若き大魔王は女好き…。

魔族の女も亜人の女も全て俺様のものという勢いで遊んでた。

あまつさえ、女神様までワンナイトな関係に…。

誰もが大魔王様にひれ伏し服従する時代…。

人は当然、大魔王様に生け贄まで差し出して来る。

しかしセラフは退屈してた。

ちょっと声を掛ければ、すぐにセラフの言いなりになる女に飽きてたというべきか?

新しい女を求めて若かりし悪魔のメフィストを従えてセラフは昼も夜もなく、この世界を彷徨う。


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