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魔王様の寵愛
第1章 魔王様の御迎え。

 「やっと、やっと見つけた···私の花嫁。ユカ」

 背中に回されていた彼の大きな手が、いつの間にか私の後頭部へと回されていた。私の肩に顔を埋めて、大事そうに呟かれた言葉に、これまた衝撃が走ったのだ。

 "私の花嫁"···だと!?

 どこぞの漫画で読んだ事のあるようなセリフが頭の中に過ぎった。花嫁とは何だ。しかもこれまた流暢な日本語が彼の口から出て来たのだ。これまたビックリ驚きだ。

 「どなたと勘違いされていらっしゃるようですが、離してください!!」

 「···」

 私はもういい加減煩わしく思って、グイグイと胸を押しながら抵抗した。いくら顔が整っているからと言って、相手をよく確認せずによくやる物だと呆れたくもなる。すると、抱きしめている腕の力が弱まりようやく解放された。やれやれ、残業終わりにとんだ災難だとばかりに不機嫌な顔をしてやった。叫ばなかっただけ有難いと思って欲しいくらいだ。さっさと帰れと内心毒を吐いた。

 しかし、どうしてこの人は私の名前を知っていたのだろうか。···もしかしてストー···かー···?いやいやまさか私が?ないないそれは無い。太陽が北から上がっても(怖)無い事だ。

 「ユカ、君は"あの時の約束"を忘れてしまったのかい?」

 ···。え、約束したの?
いつ?こんなイケメン外国人と?
もしかして、新手の詐欺が何かか?
ちょっとどうすれば良いのこの状況。

 「申し訳ありませんが、私はあなたの事を存じ上げません」

 脳みその記憶をフル稼働しても全く思い出せない。
詐欺かも知れないので、丁重にお断り(?)させて頂いた。
もう、いい加減帰って欲しい。
こっちは仕事で疲れているんだ。
ご飯食べてお風呂に入ってもう寝たい。···明日の楽しい休日の為に。

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