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蕾は開き咲きほこる
第12章 昔のキミも今のキミも

「そうですね。一緒にコーヒーを飲みましたね。そのコーヒーを飲みながら夜空を見上げ、お互いに黙ったままでも苦痛でない空間が居心地よく、そんな相手は初めてでした。それに、私の趣味に何も言わずにつきあってくれた汐里が気になったんです。ですからコーヒーに興味がある汐里を桜子さんのお店に誘ったり写真を撮りに誘ったりと理由をつけてお誘いしたんです。――なので、最初に好きになったのは昔のおどおどしていた汐里なんですよ。それから徐々に自分を出す汐里にまた恋をする、そんな感じなんです」

あの頃の私はまさしくおどおどしている私だった。
はじめは課長という立場の光春さんに緊張したけど、燃え上がる炎を見ながらコーヒーを飲んだ時間は私に安らぎをくれた。

「同じ空間にいて私も落ち着きました。これが、性格がカチッと合ったと言うことでしょうか」

光春さんと話をしていて、先ほどの魚屋の奥さんの言葉が思い浮かんだ。

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