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蕾は開き咲きほこる
第14章 合鍵
『汐里が謝る事ではありませんよ。それに途中で止まるより実家にいてくれたほうが私も安心です。会えないのは残念ですが汐里の安全が第一ですよ』
優しい声音に、顔を見なくても表情が目に浮かぶ。
「ありがとうございます。光春さんは明日も仕事は遅いんですか?」
『明日は接待が入っていますからね、何時に家に戻れるか……連休明け早々やめてほしいですよ』
耳に届く光春さんの声は心地よくて、会えない寂しさも少しは和らいでいく。
『明日は無理に出社しようとはしないでくださいね。電車が動かなければ休んでもらっても構いませんから』
「分かりました……でも、早く、会いたいです」
心にあった想いを素直に口にすると、電話越しでもフッと笑うのが分かった。
『会いたいのは私も同じですよ。ですが汐里の安全が第一です。だから無理はしないでくださいね』
「はい、わかりました。電車が動いたら連絡入れますね」
『そうしてください』