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蕾は開き咲きほこる
第14章 合鍵
トイレの手洗いカウンターに手をついて、ここまで走ってきた荒い息を整える。
頭の中では先ほどの光景が焼き付き、光春さんの艶めかしい声まで脳内に残っている。
最後までやっていないにしても、私も光春さんもエッチな行為をしてイッてしまった。
ここは会社なのに……
思い出しただけでも身体は熱くなる。
心は満たされたはずなのに、身体の疼きが消えることはなく、会社で不謹慎だと思いながら、いつものように抱いてほしかったと思う自分がいた。

「何……考えてるんだろ……っ!!」

自分の考えに呆れて顔を上げた瞬間、自分とは思えない表情をした私が鏡に写っていた。
頬を赤らめ蒸気した顔、涙ぐんでいるような瞳……

「こんな顔……してたんだ……」

それが欲情しきった表情だと分かった。
いつも、こんな表情をしながら光春さんに抱かれていたんだと思うと恥ずかしくて、化粧をしているにも関わらず両手で水道水を掬い顔を洗った。
真冬の水道水は凍てつくように冷たいはずなのに、逆に熱を奪ってくれるかのように気持ちが良くて、徐々に熱は冷めていった――……

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