パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第24章 それぞれの一歩

「汐里ちゃんたちが誘ってくれてよかったと思ってるよ」

光春さんと桜子さんが撮った写真を見て笑っている姿を見ながら、長野さんがそんな言葉を口にした。

「桜子、踏ん切りをつけるために来なくちゃいけないって思ってたみたいなんだ。だけど、ここに来れば喧嘩別れした事、末広さんが亡くなった事を思い出して足が竦んでこれなかったみたいでね。それでも、俺と付き合うようになったからケジメのために行きたいって何度か相談されてたんだけどね。桜子がそのつもりならと何度がトライしたんだけど、やっぱりダメでね。
情緒不安定になるって言うのかな？前日から少し様子が変わって、当日になると頭が痛いとか怠いとか色々理由をつけて行くことができなかったんだ。本当は行きたいのに行けない。そのジレンマが桜子を苦しめていてね」

長野さんの話を聞きながら、いつも笑っている桜子さんの姿を思い出した。
笑いを向けながら苦しんでいたことに全く気付くこともなく誘ってしまったんだと思うと申し訳ない。