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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第4章 03


 いつもの時間、午前の回診前に看護婦さんが病室を覗きに来る。


「体調はどう?」

「んー。普通です」


 美希は中途半端な笑顔を返すしか出来ない。看護婦さんが点滴をチェックし体温計を回収すると、美希のパジャマの前あきボタンを開いていく。冷たい手が素肌に触れて、美希はじっと無言でそれを見つめる。


「すぐ先生来ますからねー」


 毎日、だいたい同じことの繰り返しで感覚は麻痺しているのか。開かれた胸元をさらしたままベッドに横たわる。

 看護婦さんが次の部屋へ向かってしまうと病室は静かに沈黙した。天井をボンヤリと見つめ美希は呟いた。


「……恋、してみたいなぁ……」


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