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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第6章 #5
シーツを被ってベッドの隅っこに座っている上田が、捨てられた猫みたいに見えた。
「体大丈夫?」
「……うん」
「何か食う?」
「……うん」
「サッカー教えたる」
「……う、っえ?」
パッと勢いよく振り返る上田の髪が少しシーツからはみ出しふわりと広がる。
「好きやろ、サッカー」
「う……ん。でも……やったことない、」
「だから教えたるて。楽しいで」
やっと。微かに上田が笑う。
「でも俺めちゃめちゃ運動音痴」
「ええねん、そんなの」
一緒にいて、楽しければそれで。
「あー。じゃあ髪切っちゃおかな」
「俺が切ってやろか」
「えー?ちゃんと切れるの?」
「わからん」
怒ったり泣いたりしながら、それでも笑えたら。きっと大丈夫だから。
俺らは
俺らのやり方を
探したらええんちゃう?